研究課題/領域番号 |
11672259
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
久保 一義 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (00028846)
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研究分担者 |
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (70207728)
真弓 忠範 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00098485)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | バイオコンジュゲーション / 腫瘍壊死因子 / DIVEMA / 体内動態 / 抗腫瘍作用 |
研究概要 |
我々は、これまでに腫瘍壊死因子(TNF-α)を最適条件でPEGylation(PEGによるBioconjugation)することでTNF-αの生体内安定性を飛躍的に高め、未修飾TNF-αの100倍以上にも抗腫瘍効果を増大できることを見出している。本研究では、より優れた薬効と安全性を有するTNF-α製剤を分子設計するために、免疫賦活化能を有するジビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(DIVEMA)を用い、さらに実用可能な機能化TNF-αの分子設計を行った。バイオコンジュゲーションは、pH応答性を有するアミノ基保護試薬であるジメチル無水マレイン酸(DMMAn)を用い、あらかじめTNF-αのリジン残基を一部保護してからDIVEMAと反応させた。このDMMAnを用いたバイオコンジュゲーション法により、TNF-αの比活性を殆ど低下させることなく、バイオコンジュゲート体(DIVEMA-TNF-α)を作製することに成功した。このDIVEMA-TNF-αの機能特性を検討するにあたり、まずDIVEMAのIFN-γ誘導能をリンパ球を用いて測定した結果、DIVEMAの濃度に応じたIFN-γの産生が認められた。次にこのDIVEMA-TNF-αの有用性をin vivoにて評価した結果、DIVEMA-TNF-αは、native TNF-αと比較して100倍以上もの抗腫瘍効果を示した。さらに、体重減少や血小板減少、肝障害などの副作用を全く示さなかったことから、その癌治療への有用性が明らかとなった。また、その抗腫瘍メカニズムを明らかにすべく、DIVEMA-TNF-αの体内動態を検討したが、DIVEMA-TNF-αはnative TNF-αと比較して血中滞留性の延長は認められなかった。投与3時間後の組織分布では、native TNF-αと比較して肝臓への移行量が上昇しており、修飾高分子の動態特性を反映しているものと考えられた。以上、本研究を通じて機能性修飾高分子を用いることにより新たな機能を有するインテリ化バイオコンジュゲート医薬品の分子設計が可能となることを示した。
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