研究課題/領域番号 |
11672260
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
栄田 敏之 神戸大学, 医学部・附属病院, 助教授 (00304098)
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研究分担者 |
青山 伸郎 神戸大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30243299)
奥村 勝彦 神戸大学, 医学部・附属病院, 教授 (60025707)
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キーワード | CYP2C19 / 遺伝子型 / オメプラゾ-ル / ランソプラゾ-ル / ピロリ / 除菌治療 / 薬物血中濃度 / 胃内PHモニタリング |
研究概要 |
薬物の治療効果・副作用発現における個人差の要因の―つとして、チトクロムP450 2C19(CYP2C19)など薬物代謝酵素の遺伝的多型が注目されている。本研究では、CYP2C19遺伝子診断によるプロトンポンプ阻害剤の適正使用を目指して、CYP2C19遺伝子型と、プロトンポンプ阻害剤の血中濃度、胃酸分泌抑制作用、並びにピロリ除菌治療効果との相関解析を行った。以下に、初年度の研究成果の概略を示す。 健常人において、オメプラゾール或いはランソプラゾール経口投与後の薬物血中濃度並びに胃酸分泌抑制作用は、CYP2C19遺伝子型とよく相関し、遺伝子型が正常遺伝子(CYP2C19^* )を含む組み合わせ(Extensive Metabolizers(EMs))は、変異遺伝子(CYP2C19^*、CYP2C19^* 3)同士の組み合わせ(Poor Metabolizers(PMs))より、薬物血中濃度並びに胃内平均pHが高値を示した。また、薬物血中濃度並びに胃内平均pHにおけるEMsとPMsとの差は、オメプラゾールの方がランソプラゾールの場合に比べて大きく、各薬剤の肝代謝過程におけるCYP2C19の寄与率が異なることが示唆された。 オメプラゾールと抗生剤を併用したピロリ除菌療法では、CYP2C19遺伝子型と除菌治療効果とに関連性が認められ、EMsの除菌率は50〜85%と低かったが、PMsでは全例が除菌に成功した。―方、ランソプラゾールを用いた除菌療法では、EMsとPMsの除菌率が各々90%、82%となり、CYP2C19遺伝子型による除菌治療効果の差異が認められなかった。オメプラゾールとランソプラゾールとで両者の相関性が異なったのは、各薬剤の肝代謝過程におけるCYP2C19の寄与率の差に起因すると考えられた。
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