研究概要 |
1M NaClの単独及びEtOH粘膜傷害に対する作用を解析した. 1.粘膜傷害面積の測定 1M NaClによるEtOH粘膜傷害の抑制に対して,a.PG産生を完全に抑える量のIDM(3mg/kg,i.v.)はEtOH粘膜傷害の抑制を減少させた.b.充分量のCGRP拮抗薬(CGRP(8-37)(1nmol/kg/min))はEtOH粘膜傷害の抑制をさらに減少させた.c.IDMとCGRP(8-37)存在下ではCGRP(8-37)単独と同程度にEtOH粘膜傷害の抑制を減少させた. 2.胃内腔液のCGRPを測定 1M NaCl粘膜投与単独,EtOH投与単独ではCGRPは遊離されなかったが,1M NaCl投与後のEtOH投与でCGRPが遊離されるようになり,その遊離はIDM前投与で消失した. 3.胃粘膜基底部微小循環観察法を用いて 1).1M NaCl粘膜投与の効果(細動脈:拡張,細静脈:軽度収縮)は,a.IDM(10mg/kg,i.v.)(PGsの効果を消失)により細静脈の収縮を完全に消失し,細動脈の拡張はほぼ消失した.b.CGRP(8-37)(1-10μM,観察窓投与)(CGRPの効果を消失)により変化は起こらなかった. 2).1M NaCl粘膜投与後のEtOH投与の変化(EtOHによる細静脈の収縮を1M NaCl前投与は完全に抑制,即ちEtOH胃粘膜傷害の原因である鬱血の予防)は,a.IDMにより,1M NaCl前投与による完全抑制がかからなくなった.b.CGRP(8-37)により,1M NaCl前投与による完全抑制がかからなくなった. 以上より1M NaCl投与で内因性PGsが産生され,その結果EtOH刺激により内因性CGRPが遊離される様になり,その内因性CGRPがEtOH胃粘膜傷害を抑制していると考えられた.
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