研究概要 |
粘膜傷害面積,胃内腔液のCGRPを測定 1M NaClによるEtOH粘膜傷害の抑制はIDM又はCGRP拮抗薬(CGRP(8-37))にて減少した. 1M NaCl投与後のEtOH投与でCGRPが遊離されるようになり,その遊離はIDM前投与で消失した.PGE_2潅流後にEtOHを投与しても内因性CGRPは遊離しないが傷害は抑制された. PGI_2灌流後のEtOH投与でCGRPが遊離し傷害面積は抑制され,その抑制はCGRP(8-37)で消失した.ワイルドタイプマウス,IPレセプターノックアウトマウス(IPKO),EP3レセプターノックアウトマウス(EP3KO)とも1M NaClにより内因性PGE_2,I_2を産生した. 1M NaCl後のEtOHによりワイルドタイプ,EP3KOでは内因性CGRPが遊離され胃粘膜傷害が抑制された.しかしIPKOでは内因性CGRPが遊離されず胃粘膜傷害が抑制されなかった. 胃粘膜基底部微小循環観察法を用いて 1M NaCl粘膜投与の効果は,IDMでほぼ消失するがCGRP(8-37)では変化は起こらなかった. 1M NaCl前投与で起こるEtOHによる細静脈の収縮の完全に抑制(即ちEtOH胃粘膜傷害の原因である鬱血の予防)は,IDM,CGRP(8-37)により消失した. 微小血管に変化を与えない用量のPGE_2,I_2を微小循環に投与し,粘膜面にEtOHを投与すると,EtOHによる細静脈の収縮を完全に抑制.これに対してCGRP(8-37)を観察窓に投与すると,PGI_2前投与による変化は消失したが,PGE_2によるものは影響無かった. 結論 1M NaCl投与で内因性PGE_2,I_2が産生され,PGI_2はEtOH刺激により遊離された内因性CGRPを介してEtOH胃粘膜傷害を抑制しているが,PGE_2は内因性CGRPを介さない別の傷害抑制作用が存在すると考えられた.
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