研究課題/領域番号 |
11672278
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
宇都宮 郁 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (70168722)
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研究分担者 |
宮武 正 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (50048998)
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キーワード | 神経栄養因子 / 運動神経 / アセチルコリンレセプター / ハイブリドーマ / ガングリオシド / CNTF / GM2 / IL-6レセプター |
研究概要 |
マウスの神経芽細胞腫と脊髄の運動神経を細胞融合して作製されたハイブリドーマNSC-34に対する毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophic factor:CNTF)の生存延長作用について検討した。これらの細胞は無血清下で培養すると3日後には死滅する。この系にCNTFを作用させると、親株の神経芽細胞腫や運動神経の性質をもたないハイブリドーマは死滅するが、アセチルコリンレセプターの発現など運動神経の性質をもつNSC-34細胞は有意にその生存が延長された。この作用はCNTFの用量依存的であった。したがってこのNSC-34細胞にはCNTFレセプターも発現していると考えられる。次にこの作用に対して、神経組織に豊富に存在するガングリオシドの効果について検討した。ガングリオシドは神経細胞膜にあって、神経栄養因子の作用を修飾することが近年報告されている。低濃度のCNTF存在下に種々のカングリオシドを加えたところ、生存延長作用はガングリオシドGM2によって増強され、他のガングリオシドによっては増強されなかった。一方、CNTFによるGM2合成酵素の変動を調べたところ、親株の神経芽細胞腫や運動神経の性質をもたないハイブリドーマではコントロールに比べて変化がなかったが、NSC-34細胞ではGM2合成酵素が増加した。また他のガングリオシドであるGD3合成酵素のレベルには影響がなかった。これらの結果はCNTFによって誘導されるGM2がCNTFレセプターの発現または結合能を増強することを示唆しており、今後この点について検討したい。
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