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1999 年度 実績報告書

オリゴペプチドが産生する好中球の膜透過制御作用を利用した薬物腸管吸収および排泄解毒

研究課題

研究課題/領域番号 11672280
研究機関東京理科大学

研究代表者

林 正弘  東京理科大学, 薬学部, 教授 (20012669)

研究分担者 富田 幹雄  東京薬科大学, 薬学部, 助手 (60207610)
キーワードオリゴペプチド / 好中球 / 活性酸素種 / 過酸化水素 / 細胞間隙経路 / Tight Junction / 吸収促進剤
研究概要

バクテリアが生成するFormyl-methionyl-leucyl-phenylalanine(fMLP)が好中球を刺激し、細胞間隙経路を拡大する作用を持つことは、fMLPが内因性の吸収促進剤となる可能性を有している。そこで本研究では、好中球が産生する過酸化水素等の活性酸素種の作用に関して、ラット空腸、回腸、結腸を用いたUssing-type Chamber法により、細胞間隙透過物質FITC-Dextran(FD-4)の透過性および膜抵抗、短絡電流の変化から詳細に検討した。
その結果、過酸化水素は上記のどの腸管部位においても膜抵抗の低下および短絡電流の上昇を惹起し、同時にFD-4の膜透過性を増大した。これらの作用は過酸化水素が確かに細胞間隙経路を拡大する作用を有していることを示している。またこの作用は回腸、空腸に顕著であり、粘膜側よりも漿膜側からの作用の方が大であった。さらに、過酸化水素を分解するCatalase、スーパーオキシドアニオン(O_2^-)およびヒドロキシラジカル(・OH)のスカベンジャーであるそれぞれTironおよびMannitolの存在下では、過酸化水素の作用が抑制された。したがって、過酸化水素の細胞間接合部Tight Junction開口作用には過酸化水素の他にO_2^-や・OHのような活性酸素種が関与していることが明らかとなった。
既にヒト大腸癌由来Caco-2細胞におけるfMLPの作用について、富田は蛍光標識したグルコースの拡散が好中球の移動に伴った細胞間隙経路の拡大によることを現象として捉えている。本年の実施計画に入っていた共焦点レーザー顕微鏡によるfMLPの作用点の確認、fMLPによる好中球の産生過程の解析は次年度の予定に組み込まれることになったが、本年度の成果として当初の目的であるfMLPの作用機構における活性酸素種の関与、その作用の部位特異性を見出すことができ、fMLPの内因性吸収促進剤としての利用性に重要な知見が得られた。

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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