研究課題/領域番号 |
11672280
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
林 正弘 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (20012669)
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研究分担者 |
富田 幹雄 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (60207610)
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キーワード | オリゴペプチド / 好中球 / 過酸化水素 / 細胞間隙経路 / Tight Junction / P-glycoprotein / Caco-2細胞 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、好中球が産生する活性酸素種の一つ過酸化水素の腸管粘膜透過バリアー機能に対する作用を、ヒト結腸癌由来の培養細胞Caco-2を用いて詳細に検討し、昨年行ったラット腸管に対する作用の結果と比較検討した。(1)Caco-2内に取り込まれた過酸化水素は、膜抵抗を有意に低下させることが見出され、ラット腸管から得られた細胞間隙ルートのTight Junction開口作用の存在を支持する結果が得られた。さらに過酸化水素の作用は基底膜(B)側添加の方が頂側膜(A)側添加よりも効果が大であり、過酸化水素に対する膜部位間の感受性の差の存在が示された。(2)今年度は過酸化水素の作用に関して、細胞間隙ルートに加えて細胞内ルートの変化を、細胞内からLumen側へのくみ出し作用を持つP-glycoprotein(P-gp)の機能変化から検討した。P-gpの基質であるRhodamin123の透過性を指標にして、過酸化水素の効果を求めたところ、過酸化水素の濃度依存的にA to B方向の透過性が増大し、その逆のB to A方向の透過性は低下した。これらの結果から、過酸化水素がP-gp機能低下作用を有していることが示された。(3)Dihydrorhodamin123のRhodamin123への酸化代謝に対しても、過酸化水素は有意な低下作用を示した。以上から、過酸化水素はTight Junction開口作用及びP-gpの機能低下作用を有していることが示された。なお、当初計画されたオリゴペプチドにより活性化された好中球の過酸化水素産生過程の解析及び免疫担当細胞の関与、オリゴペプチドの経口投与製剤としての応用については今後の検討課題とされた。
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