研究概要 |
我々が情報を入手する80%以上は視覚に基づくことが報告されている.従って視覚障害者が薬剤を使用する上で薬剤情報を正確に入手し,活用するには多大な努力が必要とされる.そこで平成11年度は調剤された薬剤の用法・用量を視覚障害者にも正確に伝達できるような薬袋記載事項の点字シールによる情報提供システムを考案し,それを薬学教育のなかでも展開することを目的とした検討を主に行った. (1)視覚障害者のための薬袋記載法の調査,検討 本学で作成した薬袋記載事項の点字シールの使用性について病院薬剤部や薬局に郵送方式によるアンケート調査を実施した.その結果,本学の点字シールを利用して9施設では患者に活用されていることを認めた.また視覚障害者の誤飲防止を検討している団体に協力をお願いして,視覚障害者のための各種薬袋記載法の使いやすさについて調査を実施した.また学部3年次学生の薬剤学実習において調剤実習の一部として3時間の薬袋記載事項の点訳実習を行った. (2)点訳版「くすりのしおり」データベースの試作 兵庫県薬剤師会で作成された約150種の繁用医薬品の「くすりのしおり」データベースを現有設備の点字プリンターで作成中である.点訳ボランティア連絡会に校正をお願いしており,それが終了後点字読解可能な視覚障害者に協力を呼びかけて,モニターしていただくことで,来年度中には繁用医薬品の点訳版「くすりのしおり」を制作する予定である.
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