研究概要 |
視覚障害者が病気になって医療機関を受診し,医師により処方せんが発行された場合,患者が主体的に薬物治療に取り組めるような支援として薬剤師は処方された薬剤に関する情報を視覚障害患者のためにも提供する必要がある.このため,神戸薬科大学では薬剤学実習の一部として薬袋記載事項の点訳実習を行っている.本年度は受講している3年次学生にアンケートを行った.点訳実習の学生の理解度は良好で,卒業後薬剤師として働く場合にも本実習が役立つものと考えられた. 兵庫県薬剤師会との連携による,薬袋記載事項の点字シールの医療機関への提供は順調に進展しており,視覚障害患者の薬袋に点字シールは定期的に使用されている状態になった.そこで本年度は基礎的な薬の使用・保管法について説明した「くすりののみ方,使い方」という6分程度録音のカセットテープを朗読ボランティア連絡会の協力のもと作成し,同様の内容を点訳した資料と共に兵庫県内の薬剤師会23支部に配布した.さらに患者向けの薬剤情報「くすりのしおり」データベースの点訳版作成は点訳ボランティアグループ連絡会の校正面での協力で順調に進んでおり,約150種の繁用医薬品の点訳データを作成することができており,来年度前半には兵庫県薬剤師会が作成している約220品目の薬剤情報データベースが点訳データベースとして利用可能になる予定である.平成13年度は視覚障害者用に作成したこれら資料について視覚障害者による評価を実施し,その解析結果を基に改良を加える予定にしている.
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