研究概要 |
我々が情報を入手する80%以上は視覚に基づくことが報告されている.従って視覚障害者が薬剤を使用する上で薬剤情報を正確に入手し,活用するには多大な努力が必要とされる.そこで平成13年度は調剤された薬剤の情報を視覚障害者にも正確に伝達できるようにする目的で点訳版「薬のしおり」による情報提供システムを兵庫県薬剤師会との連携で構築した.さらに薬学教育のなかでも視覚障害患者への薬剤情報提供教育を充実することを目的とした研究を行った. (1)点訳版「薬のしおり」データベースの構築 兵庫県薬剤師会で作成された約220品目の繁用医薬品の「薬のしおり」データベースを現有設備の点訳ソフトと点字プリンターで作成した.点訳ボランティア連絡会が校正を担当して,誤訳防止に努めた.また点字読解可能な2名の視覚障害者や兵庫県盲人福祉協会に依頼し,数品目のしおりのモニターも行った.平成14年3月より兵庫県内の薬局で視覚障害者が依頼すれば,現在服用中の薬剤の点訳版「薬のしおり」を提供できるシステムを兵庫県薬剤師会との連携で構築した. (2)視覚障害者のための薬袋記載法の点訳による情報提供実習 視覚障害者のための各種薬袋記載事項の点訳実習を,カリキュラムの変更もあったため,新たに点字実習用テキストを作成し,学部3年次学生の医療薬学系II実習において調剤実習の部として点訳ボランティア連絡会の協力を得て実施した.
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