研究概要 |
本研究の目的は、癌の体細胞レベルでの遺伝子診断、すなはち臓器特異的遺伝子を検出して、早期診断や病勢診断を行うことにある。 われわれはテロメラーゼの触媒サブユニットであるhTERT mRNAの発現について、インフォームドコンセントの得られた各種内分泌腫瘍組織について検討を行い、内分泌腫瘍の種類によっては悪性度判定に有用であることを明らかにした。褐色細胞腫においては、感度80%特異度88%と良好であった。 神経ペプチドPACAPは褐色細胞腫のおよそ半数において過剰発現していると報告されているが、そのレセプターに関する報告はない。PACAPレセプターのPAC1R,VPAC1R,VPAC2RすべてについてそのmRNA発現を検討したところ、PAC1R,VPAC2Rについては副腎外発生のものではその発現がほとんど認められなかった。また副腎由来の褐色細胞腫においてはPACAP mRNA発現とカテコールアミン合成酵素mRNA(TH,DBH,PNMT)、カテコールアミン(とくにアドレナリン)量に相関が認められ、PACAPはカテコールアミン過剰発現に関与する因子と考えられた。
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