研究概要 |
1.未治療の急性骨髄性白血病40症例から得られた骨髄液と末梢血を用いて,免疫グロブリン重鎖遺伝子の相補性決定部位3 (complementarity determining region 3,CDR3)をsemi-nested PCR法により増幅し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により120bP付近に明瞭なバンドを認めるか否かによりそのmonoclonalityを判定した。 2.40症例中34例(85%)がIgH-PCR陽性と思われるバンドが検出され、単クローン性IgH遺伝子再構成が起きていると考えられた。 3.IgH-PCRでmonoclonalityを示す34例のCDR3領域の塩基配列を解析した。同一症例から複数種類の配列が得られた場合を含めて46の配列が決定され、これらの配列のうち65%に当たる30例で共通な配列となっていた。他に、数例ずつで共通する配列が12種類得られた。 4.シークエンスで得られたCDR3領域の塩基配列の相同性を検討した。30例で共通する塩基配列は5'ATTACTAGATA3'であり、D領域"D3-22"であることが判明した。 5.この共通配列がどのような機序でIgH遺伝子組み換えに利用され、どのような生物学的意味を持つかについては明らかでなく、さらに検討が必要である。 6.Bリンパ球系悪性腫癖患者(リンパ腫および白血病)血清中にmonoclonalityを示すIgH遺伝子が存在することが確認された。次の課題として、その臨床的意義と臨床検査への応用についてIgH遺伝の塩基配列の解析を含めて検討中である。
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