研究概要 |
1:末梢血検体 (1)HPC検出法の有用性 末梢血への幹細胞動員療法後、採取時期の決定に血球分析装置SE-9000に搭載されたhematopoietic progenitor cell(HPC)検出プログラムの有用性を確認した。93検体での検討で、HPCはCD34陽性細胞とy=1.68x+3.89、r=0.80で良好な相関関係が認められた。 (2)白血球数による補正の必要性 末梢白血球数の相違によるCD34:HPCの関連を白血球数20,000/μL以上と、15,000/μL以下の2群で比較した。前者ではy=1.85x+56,r=0.816、後者ではy=1.16x十6.70,r=0.683で、白血球数が多くなるほどHPC領域にCD34陽性細胞以外の細胞が比較的多く検出されるものと考えられた。今後、この非CD34陽性細胞の細胞学的特徴を、各種sorting細胞、cell line細胞を用いて明らかにしていきたい。 2:幹細胞採取液 (1)採取液検体でのHPCの安定性 採取検体では無希釈あるいはPBS希釈検体で、経時的にHPC細胞数が大きく変動するため、HPCが安定する希釈条件の検討を行った。抗凝固剤としてクエン酸に加えEDTA-2Kを添加すること、希釈にはRPMI1640を用いること、によりHPC数の安定化と同時に、propidium iodide陽性CD34陽性細胞の増加を抑制することが可能であった。 (2)幹細胞採取機器CS-3000による採取液でのCD34とHPCの相関 CS-3000採取検体ではy=0.77x十475,n=66,r=0.739と良好な相関を得ることができ臨床応用可能であると考えられた。 (3)他の採取機器での検討 Spectra採取検体でn=20と少数例ではあるがr=0.806、とやはり有意な相関を得、(1)に示した条件で測定する場合、採取機器に拘わらずHPCで測定が可能であると考えられた。
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