研究概要 |
1.輸血後GVHDにnafmostat mesilateを投与して一時的な寛解を得た症例を報告してGVHD発症にgranzyme(gr)系が重要な役割を果たすことを示した。2.GrB mRNAのサイトカインによる制御の機構をcompetitive RT-PCRで検討した。NK細胞株(YT-U)のgrB mRNAはIL-2とIL-12の併用で相加的な増強を来たすことを見出し,YT-Uには正常と異なるサイトカインに対する細胞内刺激伝達系が存在することを示唆した。3.GST融合蛋白システムを用いてrecombinant grB蛋白を作成し、これを抗原として三つの異なるepitopeを認識する六種類のmonoclonal抗体を作成した。この抗体を使ってgrBのone step ELISAによる測定法を確立した。この方法の感度は酵素学的測定法に比較して2000倍鋭敏である事を明らかにした。現在さらに高感度のgrB ELISAの確立を行っている。4.In vitroでHLA適合と不適合の組合せでCTL cloneを樹立した。安定したCTLのcloneにするためにherpesvirus saimiriを感染させてT細胞の不死化の方法を確立した。Major histocompatibility antigenとminor histocompatibility antigenを認識するCTLのTNF産生能やgrB遺伝子の発現誘導には大きな差が認められず、minor histocompatibility antigenのCTL clone誘導の重要性を明らかにした。5.活性のあるgrBとperforinを得るために昆虫細胞タンパク発現系を検討中である。
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