プロテイン1(P1)は、分子量14000の2量体である。平成11年度の研究は、概ね順調に推移し応分の成果を挙げた。要約すると以下の通りである。 1)エピトープ解析、機能評価のために、正常構造、truncatedのリコンビナントプロテイン1(rP1)を作製し、また合成ペプチドをN末端から10残基づつ、C末端から2残基づつ交換してC末端まで合成して、Pin ELISAにより解析した。 2)P1のモノクローナル抗体のエピトープ解析を行い、至適抗体を選択して酵素免疫測定法を確立した。TY-1、2、3、6、6D7はC末端の疎水性の部分を認識し、完全構造において認識が可能であり、単量体では認識できない。従って、酵素免疫測定法の利用が最適と考えられた。一方、TY-5、7、8、4は極めて限局した疎水性の箇所を認識し、結合性、親和性の高い抗体である。このうち、TY-5が最も活性が高くこれが組織染色、機能評価に利用が最適と判断した。 3)気管支喘息患者では血清中のP1の濃度の低下が認められ、肺でのT細胞、好酸球、マスト細胞に反比例することが明らかにしている。最近サルコイドーシスでは回復期に増加を認め、再生に関連した動態が注目される。 4)P1の尿中安定性について検索する過程で、β_2-マイクログロブリンの酸性尿での不安定性は、カテプシンDの作用であることを突き止めた。
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