本年度は最終年度であり、日常検体のスクリーニングと心筋梗塞早期での検索を行った。総CK活性はJSCC準拠法、CK-B活性は抗CK-M抗体を用いた免疫阻害法で行い、心筋梗塞診断には心筋マーカーであるCK-MB蛋白量、ミオグロビンおよびトロポニンIを同時測定可能な自動分析装置を用いて行った。この結果、スクリーニングの650症例の検討では、CK-B/総CK>0.1の検体は64例(9.8%)であり、臨床病態では前2年での検討と同様に、心筋梗塞、その他の心疾患が52例(81.3%)を占めていた。その他では甲状腺疾患、糖尿病、悪性腫瘍など、これも前2年での検討と同様の結果であった。これらの症例については、CK-MMアイソフォーム、薄層ゲル濾過法により異常CKか否かの検索を行った。この結果、大部分がCK-BBを含む異常CKではないことが確認された。心筋梗塞の1例と悪性腫瘍の1例については、高分子量であることが確認され、結合免疫グロブリンの検索でIgGとの結合が確認された。今回の研究で300例近い症例をスクリーニングしたが、異常CKアイソザイム症例は発見できなかったが、研究は持続するつもりである。 また、急性心筋梗塞初期患者10例の検索では、各心筋マーカーの変動に乖離が認められる例、例えばCK-MBだけが高値でトロポニンIが低値であるような症例は認められなかったが、心筋マーカーを継続して測定することで、今後異常CKが発見できるものと考える。
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