研究概要 |
フローサイトメトリーと活性化血小板マーカーに対するモノクローナル抗体を用いた活性化血小板測定法は簡便であるが、測定に至る各操作は研究者により異なり、標準化がなされていないため、研究の評価が困難である。当該研究者は、採血から測定に至る、各操作の測定値への影響を基礎的に検討し、測定法を確立した。 一方、睡眠時無呼吸症候群(SAS)においては、脳梗塞(CI)および虚血性心疾患(IHD)の高頻度の合併が知られている。そこで、CI,IHD合併の病態を解明する目的で、動脈血栓形成に主要な役割を演じている血小板の活性化の有無をSAS患者において、上述の方法を用いて研究した。 SAS患者における臨床研究:東海大学呼吸器内科(小野容明講師)との共同研究によりSAS患者における臨床研究を行った。呼吸器内科を受診したSAS患者の正中静脈から2シリンジ法にてクエン酸血を採取し、これより2.5μlを、あらかじめ用意したFluorescein isothiocyanate(FITC)標識PAC-1(0.1μg/ml)、Phycocrythrin(PE)標識MoAb-CD62P(1.5μg/ml)、Peridinin chlorophyll protein(PerCP)標識MoAb-CD61(6.0μg/ml)(以上BD社)、各10μlの入った5mlポリスチレンチューブ(Falcon社)に添加した。これらは、15分間暗所で反応後1%CELL-FIX(BD社)500μlを添加し冷暗所で2時間以上固定した。標識された血小板は,FACScanフローサイトメーター(BD社)にて測定し、解析はBD Application(BD社)にて行った。また陰性コントロールとして、PE標識マウスIgG(BD社)とPAC-1のコントロールにフィブリノゲン・レセプターのブロックペプチドであるテトラペプチド、arginine-glycine-aspartic acid-serine RGDS5mg/ml(Sigma社)10μlを同時に加え同様に反応させた。その後は、フローサイトメトリーにて測定、および解析を上記の方法で行った。その結果、SAS患者の血小板では2種類の血小板マーカーPAC-1結合およびCD62P発現とも有意に増加し(p<0.0001)、血小板の活性化が証明された。
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