研究概要 |
1.簡易尿ウレアーゼ法では従来の有機酸画分のGC/MS分析法と異なり,クレアチニンが回収されるので,同一クロマトグラム上のクレアチニンに対する化合物の濃度を表示できる利点がある。但し,本法では尿に共存するクレアチンがクレアチニンに変化するため,クレアチニンとクレアチンの和が得られる。このようなクレアチニン値の正しい測定法を,ほぼ確立した。 2.ピリミジン代謝異常症の指標物質であるウラシル,オロット酸,チミン,ジヒドロチミン,ジヒドロウラシルのTMS誘導体は,簡易尿ウレアーゼ法・GC/MS法でよく検出できた。酵素法とGC/MS法の両クレアチニンで換算した場合の変動係数(%,新生児n=50)はウラシル,チミン,ジヒドロウラシルでは60%,ジヒドロチミンで60〜70%,オロット酸で140〜150%であった。今後はこれらの物質の自動定量,ピリミジン代謝異常症の自動診断支援について検討する予定である。 3.0.1mlの尿を用いる本法はプロピオン酸血症,メチルマロン酸血症などの発症率の高い有機酸血症や,同じく発症率の高い尿素回路異常症の発症前診断に役立つものと確信する。
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