研究概要 |
インスリン依存型糖尿病(IDDM)の発症予知を目的としたマススクリーニング法の開発に関する研究を行い,下記の成績を得た. 1 HLA-DQ-DRハプロタイプの内,DQB1^*0401-DRB1^*0405,DQB1^*0302-DRB1^*0802,DQB1^*0303-DRB1^*0901およびDQB1^*0604-DRB1^*0302に疾患感受性が認められ,相対危険度は,それぞれ,3.1,5.7,2.0および2.1であった. 2 DQB1^*0401-DRB1^*0405を持つ症例では,血中の抗ウシ血清アルブミンIgA,抗ウシβ-ラクトグロブリンIgA,IgAおよびTGF-βレベルが他の症例に比べ有意に高かった.このことから,このハプロタイプを持つ症例では,消化管でTh3に対する抗原提示がより強く起こり,それに伴ってTGF-βの産生が亢進し,その結果,IgA抗体価が上昇すると考えられた.この結果から,食物抗原に対する粘膜免応答の亢進を指標とする発症予知法の病因論的妥当性が示された. 3 尿中の食物抗原に対するIgA抗体価を測定するマススクリーニング法の実用化のため,Dried urineを用いた方法の測定精度を評価した. (1)保存安定性(3ヵ月),日差再現性,同時再現性などの精度評価は良好であった. (2)血清中およびdried urine中の食物抗原に対するIgA抗体価には良好な相関関係が見られた,dried urineを用いたマススクリーニング法の妥当性が示された.
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