研究課題/領域番号 |
11672321
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
金川 克子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (10019565)
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研究分担者 |
北村 立 石川県立高松病院, 診療部, 医長(研究職)
天津 栄子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (30020027)
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キーワード | 看護介入 / 回想法 / デイケア / RO(リアリティ オリエンテーション) / 家族 / 介護者 |
研究概要 |
本研究は、都市と農村地域の在宅痴呆性老人に対する、回想法およびROを取り入れた介入プログラムの有効性を検討したものである。 対象は、東京都区内1老人保健施設デイケアを利用中の在宅痴呆性老人60名(介入群30[AD群12、VD群18]名:平均年齢;痴呆性老人84.2歳、家族介護者58.0歳、対照群30[AD群12、VD群18]名:平均年齢;痴呆性老人82.4歳、家族介護者54.9歳)である。 研究倫理は、ヘルシンキ宣言の基本原則に従い、痴呆性高齢者および主たる介護者に対するインフォームド・コンセントを得た上で実施した。方法は、介入群に対しては、痴呆性老人6名に看護職および臨床心理士合わせて4名を1単位とするグループを編成し、各グループを同一の枠組みのもと、回想法とROを取り入れたプログラムを、週1回(1.5h)、連続8週間、通常のデイケアに加えて実施した。一方、対照群に対しては、通常の標準的なデイケアを実施して経過を観察した。 評価項目は、主たる家族介護者のアフェクトバランスである。本概念は、家族介護者の痴呆性高齢者に対する感情や捉え方のバランスを示す概念であり、試案尺度(自記式質問紙)を用いて測定した。介入の結果、AD群、VD群ともに有意な介入効果は認められず、ベースラインより介入6ヵ月後時点まで、AD群の介入群と対照群では、ネガティブバランス(否定的感情)にて経過し、VD群の介入群と対照群では、ポジティブバランス(肯定的感情)にて経過して、おのおの変化を認めなかった。しかしこれより家族介入者の有する痴呆性高齢者に対する感情や捉え方は、疾患やその他の特性により異なる可能性が示唆され、これらは、痴呆性老人の日常生活適応の促進にむけての看護介入を勘案する際に着眼すべき重要な要因と考えられた。なお、農村地域での介入は、現在進行中である。
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