研究概要 |
目的:出産から第14週目までにおける乳児の睡眠・覚醒リズムの発達について種々のリズム解析法から主としてサーカデイアンリズムの発達過程について検討した。 方法:正常出産の乳児12名,母親(経産婦6名、初産婦6名)には、妊娠末期に出生時から15週間以上、乳児の睡眠と覚醒を10分刻みで睡眠日誌を記入することをお願いした。有効記録数は、延べ1,197日。1日毎の昼間期(8:00〜20:00)と夜間期(20:00〜8:00)における睡眠時間を算出した後に、出産から1週間毎の各々の平均睡眠時間を求め,繰り返しの分散分析とNewman-Keulsのpost hoc testを行った。1週間のデータ数に相当する1008個毎に区切って自己相関と、同様に睡眠を10、覚醒を-10と得点化し高速フーリエ解析(FFT)を行こなった。さらに,出生から1週間毎のcorrelogramのパターンを分類するために、Ward's minimum varianced法を用いてクラスター分析を行った。 結果:最長睡眠持続時間,平均睡眠時間,最長覚醒時間,平均覚醒時間,最長授乳インターバルおよび平均授乳インターバルとも昼夜別、週齢別および交互作用にいずれも有意な効果が認められた。夜間期の最長睡眠持続時間および平均睡眠時間の長さは、週齢と共に延長し、出生第1週に比して、10週齢以降いずれも有意な差がみられ,逆に、昼間期の最長覚醒持続時間と平均覚醒時間の長さは、年齢と共に延長し、出生第1週に比して10週以降で有意な差が認められた。最長授乳インターバルと平均授乳インターバルは、いずれも週齢とともに延長し、出生第1週に比して、9週ないし11週以降に有意な差がみられた。12のクラスターがみられ、自己相関とFFTの結果を考慮し3つのパターンに分類できた。 結論:出生後の睡眠・覚醒サイクルは、ultradian rhythmが優勢であるが、その後徐々に睡眠は夜間に集中していた。睡眠・覚醒リズムの発達過程には、個人差があるとはいえ、9〜10週齢以降急速にcircadian patternが確立していくものと考えられた。
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