[目的]この研究は100才長寿者の健康度、生活像及び生活支緩ニードを明らかにする事を目的としている。 [対象・方法]平成11年9月30日現在において佐賀県在住の100才長寿者101名を対象に面接調査を実施した。承諾の得られた64人を訪問し、1.Barthel Index 2.老研式活動能力指標 3.長谷川式老人用簡易知能スケール(HDS-R) 4.ブレスローの生活健康習慣5.ライフイベント調査(悲しみの体験、苦労した事、嬉しかった事、生き甲斐、希望)の測定具により面接した。 [結果]生活環境:在宅.21%、施設.35%、病院.44%.在宅24%施設76%.聴力は10%が不自由なく会話でき、70%は会話に大声を要した。視力で殆ど見えない人が28%不自由なく見える人は3%に過ぎなかった。HDS-R:平均6.11(0〜30)であった.21点以上の点数取得者(非痴呆者)は7.1%で20点以下(痴呆)は92.9%であった。日常生活動作(ADL)の平均点は37.24であった。スピアマン検定によってHDS-RとADLの相関をもとめた。γ=0.655ρ<0.001でHDS-RとADLとの間には相関関係があることが判った.稲垣らの研究によると百才長寿者の痴呆の出現頻度は20〜80%となっている。今回の92.9%の出現頻度はこれに比してかなり高い。HDS-RとADLについては日常生活動作の自立度の高い人ほど知能も高く維持されていて、この事は岡本らの結果とほぼ一致する。ブレスローの生活健康習慣については運動をしない者が59%で、また一日の過ごし方から51%が終日臥床している事が判った。PGCモラールスケールによる主観的幸福感については在宅と施設で比較しT検定を行った。しかしながら有意差は認められず在宅・施設間の主観的幸福感については差がなかった。生き甲斐があると答えた人は37%でADLと相関した。
|