研究概要 |
[目的]この研究は100歳長寿者の健康度,生活像及び生活支援ニードを明らかにすることを目的としている。 [対象・方法]佐賀県在住の100歳長寿者121名を対象に承諾の得られた26名を居住地に訪問し,1.Barthel Index 2.老研式活動能力指標,3.HDS-R,4.ブレスローの生活健康習慣,5.ライフイベント調査(悲しみ・喜びの体験,苦労したこと,生きがい,希望)の測定具により面接調査を実施した。 「結果」対象者の男女の比率は男性3名,女性23名で女性が8倍を占めている。これは全国100歳長寿者の男女比率(女性82.6%)とほぼ一致する。生活環境は在宅30.7%,施設69.3%。聴力は不自由なく会話できる34.6%,大きな声でないと会話できない,57.6%であった。視力は不自由なく見える,15.3%、細かい字はよく見えない・殆ど見えない84.6%であった。HDS-Rは平均値10.8点で、非痴呆と判定される21点以上は15.4%,軽度・中等度は21.2%,やや高度23%非常に高度は34.6%であった。t検定によってPGC(主観的満足感)と知能的機能及びADLが優位に相関(p<0.001),IADLにおいても優位に相関した(p<0.005)。「生き甲斐がある」と答えたのは8人で、その内訳は「健康を保つこと」,「体の故障をなおすためにリハビリをする」,「デイケアに行くこと」,「家族や友人と一緒にいられること」,「毎朝おつとめ(仏壇へ)をすること」等があった。一方,生きがいが「ない」と感じる理由は「ここまで長くいきたからもういい」と長寿への満足感を示すものや「長くいきても仕方がない」と失望感を示すものがあった。18名を比較するとHDS-R, Barthel Index, PGCの3項目において「生き甲斐がある」と答えた8名に有意差がみられた(p<0.001)。痴呆がなく,日常動作機能が高く,また,主観的満足感が高いことが生きがいに関連することが推定された。
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