平成11年度にアルコール専門クリニックに於いて治療中のアルコール依存症者の属性・関係機関の支援状況、セルフヘルプグループとの関係などを調査した。今年度はその2年後の予後調査を行い2年間の断酒維続率が36.3%であること、しかし、就労に至っているもめはわずか7.7%であることが判明した。断酒継続と属性要因との関連については教育歴と通院先クリニックに有意差が認められた。 また、アルコール依存症から良い回復をとげていると思われる29名について詳細な半構造面接調査を行い、回復の諸相、生き方を類型化した。その結果、回復とは自己肯定感を取り戻すことであり、その根拠として断酒後の生き方が示された。(1)社会的に成功している、(2)セルフヘルプグループで活躍している、(3)セルフヘルプグループで支えられている、(4)仕事も家庭も維持できた、(5)社会的な制約から離れた生き方を選択した、の5グルつに分けられ、回復に関してのキーワードを見いだせた。生き方の選択には所属するセルフヘルフグループの価値体系の影響も推測されたが、年齢・性別など他の要因も存在した。
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