研究課題/領域番号 |
11672345
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
デーヴィス アン 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70291573)
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研究分担者 |
八尋 道子 長野県看護大学, 看護学部, 助手 (10326100)
久保田 智恵 長野県看護大学, 看護学部, 助手 (20322357)
小西 恵美子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70011054)
見藤 隆子 長野県看護大学, 看護学部, 学長 (00086266)
真弓 尚也 長野県看護大学, 看護学部, 助手 (10315848)
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キーワード | 栄養・水分の人工的補給 / 終末期ケア / 生命倫理 / 看護職 |
研究概要 |
この研究は、終末期患者に対する食事・栄養と水分の継続あるいは中止をめぐる意思決定要因を、日本の文化および倫理観に照らして探究したものである。 栄養・水分の継続/中止に対し、わが国看護婦および患者の家族はどのような価値観と考え方をもっているかを明らかにするために、1.文献検討、2.質問紙の開発とデータの収集、3.人工的な水分や栄養を与えられていた終末期の患者を看護している数家族に対する面接調査、を行った。(以上平成11年度) 看護婦160名を対象とし、末期患者に対する栄養・水分の中止あるいは継続をめぐる意識について、選択回答式および自由回答式質問からなる質問紙調査により探索した。結果、これらの行為は次の2つの条件でのみ、正当化された。(1)患者がそれを望んだ場合、(2)それにより患者の苦痛が安らぐ場合。医師の指示、家族の要請、あるいは患者が高齢であるなどは、これらの行為を正当化する要因とはならなかった。 末期患者の少数の家族にインタビューを行った。結果、家族・患者とも、輸液を行うか行わないかについて医療者から情報や相談を受けてはいなかった。いったん輸液が始まり、それが患者に栄養と水分を供給するためであると知ると、その継続を願っていた。身近な者にとって、栄養・水分の中止は患者を餓死に導く残酷かつ非人間的な行為であった。 以上の結果から、この問題に対するわが国の特徴と問題点、および今後の課題が明らかになった。 人は誰も死ぬ運命にある。その死が訪れるまで末期患者に安らかなケアを提供することが医療の目標のひとつであるとすれば、その患者が陥っている状況のもとで、安らかなケアを構成するものとは何なのか、また、いつまでそれを提供するべきなのか、という問題が他方にあることも事実である。さらに、終末期の医療費用に関連して、特定患者にとってのベストが社会全体にとってもベストなのかという問題も、資源の公正配分の視点から考える必要があろう。
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