研究概要 |
在宅で生活している神経難病及び神経内科系疾患患者の在宅看護の効果判定に用いるアウトカム指標を開発することを目的にして、平成11年度においては、以下に示すような実績を得た。 1.筆者による都内の大学病院を生存退院した患者とその家族に対する追跡調査を基に、すでに作成された患者データベースの項目として、(1)大学病院の退院後に、患者や家族が在宅で困難に感じている内容、(2)日常生活動作レベル、(3)在宅で実施されている看護・介護の内容と時間数を取り上げて、解析に用いた。 2.上記(1)の結果から得られた事柄について、定性的に内容分析を実施し、大きく9カテゴリーに分類した。すなわち、a仕事(経済含む)、b,日常生活動作を含めた症状管理、c.医療機関へのアクセス、d.緊急時の対応、e.回復に関連する問題、f.患者の付添いに関連する問題、g.介護者の問題、h.コンプライアンスに関連する問題、i.コーピング行動に関連する問題である。 3.上記の9カテゴリーは、(2)日常生活動作レベル、(3)在宅で実施されている看護・介護の内容と時間数と特徴的な関連性を示した。そこで、これらのカテゴリーの内容を代表するような調査票の質問を36項目作成した。平成12年度にこのスケールを用いて、同疾患患者と家族に追跡調査を実施する。そこで、信頼性と構成概念妥当性を分析して項目を精選する。このスケールが日常性活動からみた患者の重傷度、看護・介護時間、および介護者の負担感と関連性を示せば、在宅看護の効果判定(つまりケア・社会資源によって問題が解決されたか)を調べるアウトカム指標になりうると考えられた。
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