【研究目的】大学病院を生存退院して在宅療養している脳血管障害、および神経難病を中心とした神経内科系疾患患者とその家族に対する、在宅看護の効果判定に活用できるアウトカム指標としての在宅ケア困難度尺度を開発し、その統計学的信頼性と構成概念妥当性を検証することである。また、合わせて本尺度と疾患分類および身体的・手段的日常生活動作からみた障害度、および性差との関連性を検討することが本研究の目的である。 【方法および結果】対象者は上記疾患患者442名である。これまでの研究から、在宅ケアの継続に困難を生じる内容の約400項目を内容分析して、30項目からなる暫定尺度を仮説的に設定した。この尺度を項目検討して25項目に減じて、因子分析のプロマックス回転法にて解析し、5因子からなる尺度を構成した。全項目が0.3以上の因子負荷を示した。第1下位尺度は疾病や障害の対処困難と不安因子、第2下位尺度は介護負担因子、第3下位尺度は運動機能不全因子、第4下位尺度は身体症状発現因子、および第5下位尺度は地域医療・ソーシャルネットワーク阻害因子と、それぞれ命名された。内部信頼性は、0.784から0.908と高く、下位尺度ごとの主因子法による主成分分析におけるθ信頼性係数は、0.788から0.920であった。各下位尺度得点は、ADL/IADLと中等度の相関を示し、第3下位尺度の得点のみが性差を認めた。
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