研究課題/領域番号 |
11672358
|
研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
守本 とも子 広島国際大学, 保健医療学部, 助教授 (50301651)
|
研究分担者 |
浅野 仁 関西学院大学, 社会学部, 教授 (70072999)
SCHREINER A. S. 広島国際大学, 保健医療学部, 教授 (30309645)
|
キーワード | 在宅脳卒中後遺症患者 / 介護者 / QOL / 精神的制御力 |
研究概要 |
本研究では、在宅脳卒中後遺症患者と介護者のQOL関連要因を明らかにするための一つの視点として、西日本に在住する脳卒中患者の介護者(n=100)における精神的統御力と心の健康の関係について調べた。介護者のほぼ74%は女性であり、平均年令は60.36才であった。介護期間は非常に幅が広く、介護期間が2年以下は、48.7%であり、5年以上は27.2%であった。1日の平均介護時間は9.43時間で、「副介護者あり」は介護者の半数以下(40.63%)であった。介護者のほぼ53%に鬱徴候がみられた。精神的統御力は、男性では非常に高いが、負担の感じ方については男女間に差はなかった。一方、脳卒中患者では、その55%は男性で、年令は45才から99才であり、平均年令は69.35才であった。身体的機能では、大半の患者は中程度の依存性をもっており、介護者は、患者の身の回りの世話をほとんど行なっていた。脳卒中患者では62%に鬱徴候がみられたが、患者の身体的機能レベルと鬱徴候とは関係がなかった。 本研究の調査結果で、年令、性別、介護期間、1日の介護時間、副介護者の有無、介護者の健康状態、患者の障害の度合い、そして患者の否定的気分をコントロールした多変量回帰モデルにおいて、精神的統御力と鬱徴候は大きく関係し、強い精神的統御力を持ち合わせている人は、鬱徴候が少ないことが分かった。精神的統御力は、年令や健康状態とは関係していなかったが、男性の介護者は、非常に高い精神的統御力をもっていた。高い精神的統御力をもつ介護者は副介護者に依存し、自分が介護している脳卒中患者は、機能的にレベルが高いとみなす傾向が顕著に強かった。今後鬱状態にある脳卒中患者の介護者と効果的に対処している介護者の双方の違いをより正しく理解するためには、精神的制御力などの精神的資源コーピング、そして結果との関係をさらに調査する必要がある。
|