研究概要 |
訪問看護ステーションにおけるリスクマネジメントのあり方に関する研究において、本年度は、看護職が訪問看護に関わる場での看護過誤及び事故の発生の現状を把握することを目的とし、訪問看護ステーションの看護職を対象に看護過誤及び事故発生の経験とその対応について調査を実施した。平成11年度全国老人保健施設要覧に記載された名簿から無作為に抽出した訪問看護ステーション900ヶ所に働く看護職4,783人を対象として、郵送法による質問紙調査を実施した。調査期間は平成11年11月1日から12月31日までとした。質問紙は本研究のために作成し、看護職の経験及び資格、年齢などの質問、訪問看護時の交通手段、交通事故の経験、暴言や暴力等危険な事柄に出会った経験とその状況、看護過誤の経験とその時の状況などを含む。質問紙は無記名による回答とした。質問紙回収数は1,602(回収率33.5%)、有効回答数1,581(有効回答率33.1%)であった。 回答者の平均年齢は39歳であった。資格は看護婦が86.9%、准看護婦が12.4%、保健婦が5.2%であり、全体の25.6%の者がケアマネージャーの資格を有していた。回答者のうち37.9%は非常勤の勤務者であった。看護職が出会う危険性に関する結果は次のとおりであった。回答者の16.6%の者が交通事故に遭遇した経験があった。訪問先の環境に関わる危険性では、犬に吠えられる、工事中で危険、辺ぴなところ、悪天候、滑りやすい階段などを危険としていた。患者や家族からの暴言には、30%の者が危険を感じた経験があった。526人(有効回答者の33%)はその状況を、看護職への暴言、患者が興奮していて危険だったこと、看護職への性的いやがらせへの危険などについて回答していた。看護過誤は267人が経験を有していた(有効回答者の16.9%)。過誤の内容は転倒が過誤件数の33.7%と最も多く、発生時期は訪問開始後3ヶ月以内が同件数の39%であった。
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