研究概要 |
本研究によって得られた成果を,日本公衆衛生雑誌に「在宅がん患者と脳卒中患者の看護量,介護量の比較」と題して発表した。以下にその要旨を示した。 疾患の違いによる看護・介護サービスの特性を明らかにするために,在宅がん患者と在宅脳卒中患者の看護・介護サービスのデマンド,ニーズを比較し,両者の違いを明らかにする目的で,愛知県,長野県および東京都の訪問看護ステーションに登録され,調査期間中に当該訪問看護ステーションからの訪問看護婦による看護サービスを受けていた在宅がん患者55人と在宅脳卒中患者55人を選定し,調査を実施した。調査内容は,看護・介護に従事している訪問看護婦とホームヘルパーに,現在実際に提供している看護・介護量および看護・介護職自身が必要と判断した看護・介護量の調査と,患者本人(または家族)を対象とした,本人が受けている看護・介護量および本人(および家族)が望んでいる看護・介護量の評価である。前者は自己記入方式で行い,後者は看護専門職による訪問面接調査法によって実施した。調査項目は,患者の性,年齢,病期,および家族,看護婦,ホームヘルパーが実際に患者に提供した看護・介護量で,各人毎各項目毎にその実施頻度と1回当りの平均所要時間数を調査した。 結論 1.脳卒中患者の家族の過剰負担量は,がん患者の家族のそれより有意に(順位和検定:P<0.05)大きいことが明らかになった。 2.がん患者の家族は,看護婦への看護デマンドの方がホームヘルパーへの介護デマンドより大きく,生活援助,相談指導,連絡調整といった看護デマンドが有意に(順位和検定:P<0.01)大きかった。 3.脳卒中患者の家族は,ホームヘルパーへの介護デマンドが看護婦への看護デマンドより大きく,生活援助,医療的ケア,相談指導で介護デマンドが大きかった。
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