研究概要 |
1.女性とエイズに関する知識と意識の実態調査 1)目的:妊娠時HIV抗体検査とHIV陽性妊産婦の医療をめぐる知識・情報に関する女性の周知度と意識の実態把握(2)1996年実施の同様調査(対象:妊婦・医療系学生)との比較による現状分析。今回はHIV抗体検査に対する妊婦への配慮から調査対象を育児期の母親とした。 2)方法・対象:無記名自記式質問紙。協力が得られた施設・機関を通じて一斉配付,後日回収。 配布先と回収数:新潟・埼玉・東京の保育園および幼稚園の園児の母親418,有効回答341。 医療系短大および福祉系短大の学生441,有効回答343。 3)結果・考察:(1)知識-26項目の3尺度評定による平均値は,母親2.0±0.54,医療系学生2.1±0.58,福祉系学生1.9±0.49。96年調査に比べて母親の周知率は有意に高く,逆に学生はやや低かった。女性に焦点をあてた知識は母親,学生ともに低率であった。東京は新潟・埼玉より知識率が高く,無職よりも有職の母親のほうが周知度は高かった。(2)意識-「HIVへの関心度」「医療への意識」「偏見差別」の3領域24項目でみると,とくにHIVへの知識・関心が低率を示す無職の母親群は,他群に比べてHIV感染女性や感染母子の排除につながりかねない意識をうかがわせた。結果は,一般的な感染知識が定着している反面,社会的関心は低下し,医療に関わる情報や女性に対する知識・情報は少なく,新たな偏見を惹起する可能性のあることを示唆した。(3)妊娠時HIV抗体検査の周知度-受検者のうち,説明有り41.2%,無し35.6%,記憶無し20.0%であった。事前・事後カウンセリングは3地域ともほとんどなかった。妊娠時HIV抗体検査の実施を知る学生は10%以下にとどまり,他の検査項目に比べて有意に低かった。(4)HIV感染・女性とエイズの学習関心度-母親約20%,学生では約50%であった。母親の職業の有無による差はなかった。妊娠時HIV抗体検査は十分な説明が提供されていないことを示したが,他方,女性にとってはHIVへの関心を高め,その後の感染予防と陽性者支援のための重要な機会と考えられた。本調査結果は,妊娠から出産・育児期,性生活指導に関わる助産婦がそこに如何に関わるかが,支援戦略の課題であることを示唆した。 2.平成13年度の展開 (1)助産婦の役割意識と受け入れ体制に関ずる調査(2)HIV感染女性・妊産婦事例による質的研究
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