本研究は、分娩期における助産婦が行うモニタリング機能の構造を明確にすることを目的として行った。調査は、質的分析を用いた経時的記述研究で行い、Schatzman & Straussらの開発したstraight description(データの分類をし、起こった事実を記述する)を用いた。データ収集は、半構成型インタビューによって行い、本研究の目的に同意を得られた京阪神の病院や助産所に勤務する臨床経験5年以上の助産婦20名とした。その結果、分娩期モニタリング機能を構成するカテゴリー5つ((1)医療介入のタイミング、(2)自然に産む力、(3)分娩への取り組み、(4)信頼関係、(5)本物の分娩進行)とモニタリング機能に影響するカテゴリー2つ((6)助産婦と医師との信頼関係、(7)産婦と関わった時間)が抽出された。構成するカテゴリーは、助産婦が産婦を中心として(4)信頼関係を築き、(2)自然に産む力と(3)分娩への取り組みを(1)医療介入のタイミングとのバランスを取りながら、(5)本物の分娩進行を見極めるモニタリングを行っていることがわかった。そのモニタリング機能が効果的に行われるためには、その環境として(6)助産婦と医師との信頼関係が保たれているかどうかや(7)産婦と関わった時間が理解を深めるための時間を持てたかどうかが影響されると表現された。分娩期における助産婦のモニタリングは、母子にとっての安全な分娩が行われることと共に、産婦が「自分の力で産めた」と思え、家族にとっても関わりを持てたと思えることを目標に行われていた。これらは、家族を中心とした助産婦のケアの独自性であると考える。 今後の研究の展開 今後妊娠期における助産婦と妊婦とのケア場面におけるモニタリング機能についても調査を行い、周産期における助産婦のケア構造モデルを構築し、臨床において助産ケアのあり方を考えたい。
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