研究課題/領域番号 |
11672372
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
楢木野 裕美 大阪大学, 医学部, 助教授 (90285320)
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研究分担者 |
河上 智香 大阪大学, 医学部, 助手 (30324784)
上野 昌江 大阪府立看護大学, 看護学部, 助教授 (70264827)
鈴木 敦子 大阪大学, 医学部, 教授 (50196789)
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キーワード | 内的ワーキングモデル / 世代間伝達 / 子ども虐待 / 親子関係 / アタッチメント / 親になることに対する態度 / 対児感情 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、妊娠各期の妊婦726名・育児期にある母親167名を対象にした質問紙調査の分析を行った。分析は、(1)妊婦のアタッチメントパターン別による親になることに対する態度の比較について、(2)妊娠各期毎に、妊婦のアタッチメントパターン別による親になることに対する態度の比較について、(3)育児にある母親のアタッチメントパターン別による親であることに対する態度の比較について、(4)妊婦または母親のアタッチメントパターン毎の家族・社会的な背景要因および親になることに対する態度について、であり、これらの結果から歪んだ親子関係を克服するための要因を検討する。さらに、育児支援のためのプロトコール試案を検討している。 調査結果では、妊婦および母親のアタッチメントパターンは、安定・不安定・アンビバレントの3パターンに分けられる。妊娠期では、妊娠初期よりも妊娠後期にかけ、アタッチメントパターンによる親になることに対する態度に有意な差が見られた。育児期になるとさらにアタッチメントパターンによる差が明確になってきた。いずれのパターンも、親になることに対する態度のうち、感情的側面や行動的側面は、肯定的な見方をしているが、認知的側面では、パターンによる差はなかった。 家族・社会的な背景要因では、アタッチメントパターン別による差が大きく見られた。安定したアタッチメントパターンの親では、従来言われてきた虐待のリスク要因の有無により、親になることの態度に差があったが、不安定・アンビバレントなアタッチメントパターンの親では、リスク要因の有無が親になる態度と関係しなかった。つまり、不安定・アンビバレントなアタッチメントパターンの親には、従来のリスク要因のないことが、必ずしも虐待のリスクがないとは言えないのである。その点を考慮した育児支援のためのプロトコール試案を検討している 以上から、子ども虐待や世代間伝達に着目しながら、育児支援のためのプロトコール試案をいくつか検討しているが、今後は、定着可能で、使いやすいものの精選をしていく予定である。
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