研究課題/領域番号 |
11672374
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
林 優子 岡山大学, 医学部, 教授 (50284120)
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研究分担者 |
金尾 直美 岡山大学, 医学部, 助手 (30274020)
中西 代志子 岡山大学, 医学部, 助手 (50217783)
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キーワード | 看護援助モデル / 腎移植 / Quality of Life / 自己概念 / サポート / 不確かさ / 身体の状態 / 対処 |
研究概要 |
作成した腎移植を受けたレシピエントのQOLを高めるための看護援助モデル(案)を検証することを目的に、そのモデルを腎移植者2名に適用して検討を行った。対象者は、平成11年10月に献腎移植を受けた39歳の男性と、平成10年11月に生体腎移植を受けた25歳の男性である。適用した看護援助モデルは、腎移植を受けたレシピエントに効果的な看護援肋を行うために、援助の視点を明確にして、系統的にアプローチしていくためのものである。援助の視点はレシピエントの体験している自己概念、サポート、不確かさ、身体の状態、対処であり、それらは個人の背景を考慮して継続的に行われる。適切な働きかけがなされると、レシピエントの肯定的な自己概念、サポート、そして問題解決的対処が促され、その結果QOLが高まる。39歳のレシピエントは、幼少の頃から腎疾患の治療を続け、24歳に透析導入していた。腎提供者の突然の出現により一時戸惑ったが決意して移植を受けた。移植後はスッキリした感じがなく貧血などの身体のトラブルが生じた。入院中は身体の側面でのQOLが高まった実感はなかったが、退院後は「旅行に行きたい」と退院後の社会生活に期待が持てるようになっていった。本人は肯定的な自己概念の持ち主であり、妻や両親の強いサポートがあり、物事に前向きに取り組む姿勢を示していた。一年前に生体腎移植を受けたレシピエントは、充実した社会生活を送っていた。移植者協議会のスポーツ大会に参加したり、移植仲間との交流を深め、またパート仕事に就いていた。「何事にもプラス思考。逆境こそ自分にとって最大のチャンスだと思う」と話し、より新しい自己を確立していた。2例とも、移植後の不安はないわけではなかったが、肯定的自己概念、肯定的サポート、問題解決的対処がQOLを高めていた。それらを評価し認める援助を行った。
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