本年度は、1.更年期外来受診者調査、2.ダイアリー(試案)作成、3.看護面接プログラム試案の実施・検討を計画したが、1.は更年期外来における治療中断者の把握人数が非常に少なかったため、実施方法等再度検討の予定である。2.は、自己記入式の「女性の心とからだのための健康手帖」(試案)を作成した。手帖内には文献検討や見学の成果を生かし、身体的側面、心理的側面、社会的側面に関して自己評価するページ、毎日の症状の変化を記録するページ、治療・検査の結果を記録するページを設けた。使いやすさ、内容の適合性等を検討するために、現在中高年女性向けの小グループセミナー参加者とホルモン補充療法(HRT)開始者に対して使用中である。セミナー参加16名中手帖紹介後3ヶ月ですべての項目の記入は3名、半分程度の記入は8名であった。記入した項目では自分の状況についての理解が促進されたと概ね良い評価を得た。更年期外来受診者には使用を開始したばかりである。今後修正版作成の予定である。3.に関して今年度明らかになった課題を示す。本研究の中心的な課題はHRTを経験する女性への支援であるが、HRTは更年期障害の治療手段であると同時に、骨粗鬆症の予防等のヘルスプロモーションの側面があり、特に最近のHRTの目的はそれであることが多い。すなわちこれらの女性を支える支援は、中高年女性に対する健康支援を考えることとである。作成した健康手帖は、記入自体が自分自身を振り返り、健康問題の解決の方向性を見えやすくし、HRT開始者に限らずこの時期の女性全員が使用可能である。セミナー参加者や外来受診者への支援を通じて明らかになった看護者の役割は、手帖記入を促進すると共に記入した結果への疑問や不安に回答して対象者を支援することである。来年度は成果を生かし本手帖を中心とした看護面接の実施と評価の予定である。
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