本年度は、1.『女性の心とからだのための健康手帖』の修正版作成、2.更年期外来でホルモン補充療法を開始した対象者に対する手帖を用いた看護面接の実施と評価を行なった。1.昨年度のセミナーや更年期外来での使用経験を生かし手帖の修正を行った。特に、初版ではそれぞれのページの記録が自分の状態の自己評価につながることをめざしたが、それぞれの指標が示す意味についての質問があったことや、網羅して説明することが時間的に難しかったため、「乳がん自己検診の方法」「中高年期と尿失禁」「中高年期とセクシュアリティ」について説明の文章を追加した。2.ホルモン補充療法を開始した受診者に対して修正版を用いた看護面接を実施した。参加している更年期外来のシステムの変更等により対象者との接触が難しくなり、同意が得られ看護面接を行なった対象者は5名であった。ほとんどの対象者が1〜2回の面接で終了したが、うち1名に対してほほ1年間に渡って4回の看護面接を行なった。第1回看護面接においては、対象者の状況把握と最重要の健康問題に焦点を絞ることになり、手帖の活用法の説明のみになった。結果的に手帖を生かした看護面接は第2回目以降になることがわかった。4回実施した対象者は、「症状が重い時には手帳の記入が負担になることもあったが、手帖の記述を振り返ることで現在の状況が改善していることを実感できた」と好評を得た。実施した看護面接の評価から、手帖を用いた看護面接は、本人が無自覚の健康問題に気づくことができ、面接の焦点が適切になることが明らかとなった。一方で、手帖を生かした看護面接をさらに改善するためには、更年期外来の流れに組み込んだ看護面接のシステム化が今後の課題であることが明らかとなった。また単に更年期外来に受診している対象者だけではなく、更年期女性の総合的な健康支援が必要であることが示唆された。
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