研究課題/領域番号 |
11672377
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉永 純子 徳島大学, 医療技術短期大学部, 講師 (30227425)
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研究分担者 |
安岡 劭 徳島大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30035414)
道重 文子 徳島大学, 医療技術短期大学部, 講師 (00274267)
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キーワード | 慢性気道疾患 / 痰の膿性度 / 呼吸困難 / 脳血管障害 / 痴呆 / 嚥下障害 / 肺炎 |
研究概要 |
呼吸器感染症-肺炎を発症しやすい慢性気道疾患患者と脳血管障害患者を対象にして、これらの患者における疾患の進展防止、呼吸器感染症の発症予防と看護のための基礎的研究を行うことが本研究の目的である。本年度は以下の研究を行った。 1.慢性気道疾患患者における去痰に関する研究(看護者によるアセスメントスケールの検討):慢性気道疾患は、呼吸器疾患のなかでも頻度が高く、高齢者に多くみられる疾患群である。加齢に伴い、病状の進展がみられたり、風邪などの上気道感染を契機に症状が増悪、長期化しやすいため患者は苦痛が大きい。看護者として、患者の自覚症状から病状の悪化や進展が判断できる指標を作成することは、呼吸器看護において有用であると考えられる。本研究では、慢性気道疾患患者の気道感染のリスクを判断するための簡便なアセスメントスケールを提案し、その妥当性について検討した。研究目的に同意の得られた慢性気道疾患患者76名を対象に面接調査を行った。面接時に、痰の喀出がみられた患者からは痰の採取を行い、その外観についても観察した。痰の外観から、黄色痰を呈し慢性的な気道感染が存在する患者群、および白色痰を喀出し慢性的な気道感染の少ない患者群の2つに分けて面接結果の集計を行った。面接は、慢性気道疾患の臨床症状を痰、咳、胸部症状、全身症状の4つに分けたアセスメントスケールの作成して実施した。気道感染の有無により具体的な観察内容を設定して患者の自覚症状や面接内容に該当するかどうかを検討し、該当率が50%以上の場合にアセスメントスケールとして有用であると考えた。痰の喀出状態に関する項目では、気道感染の有無による傾向の違いが明らかで、設定した内容との該当率が高く、アセスメントスケールとして有用であると考えられた。しかし,咳や胸部症状などの項目では、個人差が大きく、特徴的な傾向がみられなかった。今後は、自覚症状の程度を明らかにできるような尺度の検討が必要である。 2.脳血管障害患者の肺炎予防のための基礎的研究:研究目的に同意の得られた脳血管障害患者を対象に、脳血管障害の存在や、脳血管障害と慢性気道疾患を併発することが、肺炎の発生にどの程度関連しているかを面接調査した。肺炎の危険因子としては、多発性脳梗塞、嚥下障害、慢性気道疾患等の要因が重なって存在する患者において高率に肺炎が発症していた。 3.口腔内環境の改善:長期療養患者の口腔の状態の診査と口腔衛生に関する習慣等について聞き取り調査を行なった。有歯者は歯肉の発赤等が多くに見られ、歯周疾患を起こしやすい状態であり、義歯装着者では食物残渣が多くみられ、注入患者では拭き取りのみであった。口腔保健指導の必要性が示唆された。脳血管障害後遺症による嚥下障害患者の感染予防と摂食機能改善のためにブラッシングリハビリテーションをおこなった。3ヵ月後には飲水量は増加し、口腔内の所見も改善した。ブラッシングリハビリテーションの有用性が明らかになった。
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