小児の1型糖尿病患者を対象にしてテレビ電話を用いた患者教育方法のモデルを示すことを目的に、より具体的で実践的な研究を展開した。研究成果は以下の通りである。 1.テレビ電話による患者教育支援システムの整備を行なった。 対象者事例を5例(小学生3名、高校生2名)に増加し、さらに小学校保健室との交信を追加した。患者のテレビ電話による教育指導に対する変化では、糖尿病自己管理能力として、血糖値の安定や、HbA1c値の安定・改善を認めた。特に、小学校低学年の患児の低血糖への対応と予防への行動が確認できた。また、本システムの導入は、家族の自己管理支援の強化や、地域社会・学校の支援姿勢の強化を進展させる機会となった。 2.チームアプローチのためのチーム編成、支援システムの整備に対して、その基礎的研究として、本年度は親に注目した。 1型糖尿病患児を持つ親の生活の実態を評価するための尺度として、PDQOL(Parents diabetes quality of life)質問紙日本語版を作成した。さらに、学齢期の患児を持つ親を対象に、父親、母親に区別して調査し、尺度の信頼性を確認するとともに、糖尿病の子どもを持つ親のQOLの実態を調査した。 また、カルガリー家族看護のアセスメント・介入モデルを用いて、学童期前期の患児の家族アセスメントを行い、1型糖尿病患児を持つ家族看護モデル試案の検討を行った。
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