研究分担者 |
村瀬 千春 産業医科大学, 産業保健学部, 助教授 (10239519)
伊藤 英明 産業医科大学, 医学部, 教授 (90038852)
黒田 裕介 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (30131915)
佐藤 清治 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (00225955)
鶴留 洋輔 産業医科大学, 医学部, 助手 (30352305)
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研究概要 |
胃切除術後は食物貯蔵能力低下による食事量減少、カルシウムの不容化、吸収障害、ビタミンD吸収不良などによって骨代謝障害の30〜40%が術後1年未満に出現しやすいといわれている。そこで、本研究は胃切除術後の骨代謝の状態を追跡し、食生活状況や身体活動状況の骨密度への影響を調べ、生活指導プログラム作成の基礎的資料にすることを目的とした。骨代謝の状態は、超音波による骨密度測定(SOS),骨代謝パラメータ(BAP,ALP_3,DPD,NTx,補正Ca)の測定を行い、身体活動として歩数測定,食生活状況は質問紙による方法で行った。 平成12年度から佐賀医科大学で、平成13年度から産業医科大学で調査を開始した。佐賀医科大学では骨形成マーカーであるALP_3,BAPが術後3週目に有意に減少し,術後3ヶ月目より増加した。骨吸収マーカーであるDPDは有意に増加した。産業医科大学では,6ヶ月・1年目の追跡調査の対象者が11名(13名の内,死亡・協力拒否を除く)であった。その結果は,佐賀医科大学と同様にALP_3,BAPが術後3週目で有意に減少したが,術後3ヶ月目から術前より増加した。しかしDPDは,術後3週目で有意に増加し,3ヶ月目以降は有意に減少した。NTxは,いずれの時期においても増加傾向が示され,1年目では術前より有意に増加し,佐賀医科大学の結果と異なった。これらの相違は対象の重症度によると考えられる。また,身体活動量・食生活による影響を検討したが,有意差はなかった。 このように骨代謝障害は術後3週目に出現していたが,骨吸収過程,つまり回復過程は個人差に影響を受けることが示唆された。申請した研究期間は終了するが,今後さらに追跡調査を行い,身体活動量と食生活の関連性についての検討を行う予定である。
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