研究概要 |
これまでの2年間における育児生活肯定感尺度の開発、精選の結果、今回改訂した尺度を用いて、13年度は以下のような成果を得た。 1,母親の育児肯定感の変化について、産後の育児開始期からその後の育児生活の実態を把握するため、都内S総合病院で出産し、産褥1ヶ月検診に訪れた母親248名(うち有効回答初産婦112名、経産婦98名)に、産後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の4回、育児肯定感尺度(4カテゴリー19項目5段階評価)を用いた調査を行った。同時に母親の自尊感情、鬱状態、児の栄養法、サポートの実態等を質問し、育児肯定感との関連を検討した。 2,鬱状態の変化については、母親の鬱状態は産後1ヶ月が最も強く、漸次低減することが明らかになった。このことはこれまで産後の鬱は、出産後3ヶ月が最も高いと言われてきたが、それとは異なる結果であった。また、母親の鬱状態は、経産婦よりも初産婦のほうが、計画的な出産よりも無計画な出産の場合に、更に周囲からのサポートの少ない人は多い人よりも強い結果であった。 3,育児肯定感尺度の妥当性を検討するため、尺度の測定結果において、95点満点中50点以下の低得点者4名(初産婦2名、経産婦2名)に、産後3〜5ヶ月の時点で面接調査を行った。その結果、いづれの母親も尺度の低得点を反映する状況にあり、全例が核家族で、夫や家族からのサポートに不足を感じており、元来子供が好きではなかった、そしてもっと自分の時間を欲しい、子供を加えた生活の調整にストレスを感じている等の状況が確認され、これらは尺度の得点を反映する結果であり、尺度の妥当性についての示唆を得られた。 4,以上の2,3の成果について、第16回日本助産学会学術集会に2題の演題発表を行った。
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