目的は、(1)高齢者のヘルスプロモーション・プログラムに活用できる高齢者の長寿に関する信念の尺度を明らかにする、 (2)高齢者の長寿に関する信念への気づきを高める看護介入のプログラムを開発し、高齢者のQOLを検討する、ことである。 目的1に対しては、高齢者、看護職、福祉職あわせて約500名を対象に質問紙調査を実施した。回収率は、約65%であり、現在データの入力、分析を実施中である。 目的2に対しては、長寿の信念に対する気づきを高める看護介入プログラムとして、エンカウンターによるグループ・アプローチ(構成的、非構成的)を、参加者17人に実施した。実施は、4月〜12月にわたり10回の定期セッションと、1泊2日の合宿研修、前年度終了者との交流会1回が行われた。データ収集は、参加者の了解を得て会話記録や、参加者の撮影した写真により行われた。グループアプローチの会話分析では、345件の内容が抽出され7領域に分類された。参加者は、グループでの話し合いを通して人生を振り返る人間関係を持つことができ、自己効力感が上昇した。また参加者の撮影した写真分析からは、その持つ意味・意図が3つに分類された。すなわち(1)昔を偲び今に至る回想のできる事象、(2)美しいもの、好きなもの、喜び、楽しみ、誇り、安堵、愛着、感謝など肯定的で積極的な気持ち・感情を喚起する事象、(3)後世への願いや使命感を喚起する事象である。参加者は、馴染んだ日常生活環境において、これらの意味を意識的・無意識的に反復体験し、自分らしいあり方で高齢期に適応し生活していると考えられた。これらの成果を国内学会に4回、国際学会に1回発表した。また専門誌に1編を投稿中である。
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