研究概要 |
本研究の目的は、Youngerが構築したTheory of Masteryを前提として、がん体験者の適応状態を多角的視点をもって把握する方法を開発し、本人の力を引き出しその力を活用する肯定的な長期的適応への具体的な看護援助方法を考案することである。H14年度,延期期間における結果は、以下の通りである。 1.外来通するがん体験者29名の結果:体験者の心配、気がかり、困難と対処 がん体験者が語った困難の内容は、【症状や副作用の出現に関わる苦痛】【症状と転移を結びつけての不安】【漠然とした転移や死への不安】【がんであることの衝撃】【仕事への不安】【経済的不安】【楽しみの制限】【治療への不安や手術への抵抗】【医師に対する不満】【病気になった自己を認識したくない】【ボディイメージの変容を受け入れる困難さ】【ストマ受容や対処の困難さ】【自分の役割を遂げられない不安】【特別視されたり心配されたくない】【同病者はどうしているのか気になる】【家族の病気】の16のカテゴリーがあった。対処としては、35カテゴリーが明らかになった。 2.外来通院するがん体験者の150名の実態調査の質的結果 がんの体験内容は、【医療者に対する思い】【告知後から治療開始までの心のゆれ】【治療後の身体変化に対する思い】【病気体験の意味づけ】【健康に対する取り組み】【病気体験後の生活への取り組み】【サポートの存在】【将来に対する思い】の8つに分類できた。【医療者に対する思い】には<医療者に対する信頼感・感謝><医僚者への要望>、【告知後から治療開始までの心のゆれ】には<告知後から治療開始までの心のゆれ>、【治僚後の身体変化に対する思い】には、<身体変化に対する思い>、【病気体験の意味づけ】には、<病気体験の意味づけ>、【健康に対する取り組み】には<過去の自分の健康に対する取り組み><病気体験後の健康対する取り和み>、【病気体験後の生活への取り組み】には<病気を乗り越えた現在の自分の生活に対する評価><病気に対する情動のコントロール><生活の仕方の選択><同じようにがんを体験している人の役に立つ>、【サポートの存在】には、<周囲からの生活上の実質的サポート><家族や友人からの情緒的サポート>、【将来に対する思い】には、<再発の不安><死の迎え方>の内容が含まれていた。
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