研究課題/領域番号 |
11672392
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
北川 公子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教授 (30224950)
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研究分担者 |
中島 紀恵子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (90009613)
竹田 恵子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (40265096)
山田 律子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (70285542)
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キーワード | 痴呆性老人 / 病棟環境 |
研究概要 |
本研究の目的は、痴呆性老人の自立と安全の維持・向上に貢献する病棟環境の要素、並びに環境づくりのための看護実践を展開するにあたって発揮されたエンパワメントを抽出し、その構造化を試みることである。そのために、転倒予防、あるいは抑制廃止に向けて優れた実践を行っている兵庫県内の脳機能研究機関に付属するH病院と、東京都内の老人性痴呆疾患療養病棟を中心とするK病院を対象施設とし、それぞれに所属する看護職によって書かれた関連文献の収集・整理、病院看護部門管理者、病棟看護部門管理者、看護スタッフ、計8名に対するインタビュー、並びに病棟での非参与的な観察を行った。 諸資料、インタビューの逐語記録、観察内容の分析から、次のことが明らかになった。 (1)H病院は、痴呆の確定診断機能を担う病院であるため、軽〜中等度痴呆の患者が多く、入院期間は平均で30日前後であった。大多数の患者が家庭復帰するため、入院中の転倒骨折、離院などの事故を起こさないことが非常に重要であり、そのためにクッションフロアへの床材の張り替え、センサーマットの開発などの物理的環境の整備、離院者を早期に発見するための院内全部署をあげての仕組みづくりが積極的に行われていた。 (2)重度痴呆で長期療養患者が中心となるK病院では、転落防止のための低床ベッド導入のほか、病棟内で患者が安心して療養生活が送れることを目指して環境が整えられており、不要な雑音をたてない、臭気をこもらせないことが徹底して行われていた。長期療養者に対し、よりソフト面の環境を重視する様子がみられた。 (3)両病院とも、病院の機能に沿う方向で環境づくりが進められており、その推進者として病院看護部門管理者が大きな力を発揮し、影響を与えていた。しかしその意志決定プロセスは、所属の組織体制により、違いがみられた。 今後、質的分析を用いて、より詳細な分析を行う。
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