研究課題/領域番号 |
11672393
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
稲吉 光子 北里大学, 看護学部, 助教授 (60203212)
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研究分担者 |
川口 優子 神戸大学, 医学部・保健学科, 助教授 (90152941)
遠藤 恵美子 北里大学, 看護学部, 教授 (50185154)
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キーワード | がん患者の自己擁護技能 / がん患者教育 / 内省 / 病気体験の意味 / 成功体験 / がんサーバイバー / 自己効力感 |
研究概要 |
研究目的はインターネットに公開されているがん患者の自己擁護技能(self advocacy skills)から組み立てられた患者教育の実施であった。自己擁護には6つの技能があり、これらはコミュニケーション、情報収集、意思決定、問題解決、交渉、自己の権利主張であった。研究方法は批判内省法(critical reflective inquire)による6回の面接であった。面接では、対象者に自己擁護技能についての、困難な体験を自由に語ってもらった。対象者の選定基準は1)初めてがんと診断された男性、2)うつ状態にない患者、3)30分程度の対話が可能な患者、4)自己擁護技能の向上に関心ある者とした。 プログラム実施者への他事例からの影響を壁けるために、まず、第1例のAさんの面接を完結させた。第1回から第3回の面接(記述期)までには、治療の苦痛、動揺、恐怖が表出され、医師に「おまかせする」関係が繰り返し語られて、飽和状態になった。第4回と第5回の面接(内省期)では、Aさんは病気体験を物語として再構築していった。療養中の成功体験への気づきが、犠牲者からサーバイバーへの発想の転機となった。最後の第6回の面接(開放期)では、病気体験について、ユーモアを交えて話し、サーバイバーへの実感がもてるようになっていた。 初回事例では、がん病気体験の再構築により、成功体験が認識され、自己効力感が高められた。成功体験の認識が技能習得に重要であると考えられる。さらに、批判内省法はアメリカで考案された患者教育にも効果的に活用できたように、がんの病気体験に意味を見出すための方法でもある。
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