「悪性疾患患児の親の状況危機と援助に関する研究」で、悪性疾患患児と両親の闘病生活の状況とその影響を知ることにより、闘病生活が親に与える負荷レベルと要因を分析し、両親のネガティブな変化の軽減に役立つ援助を追求することが目的である。 闘病生活により発生する家庭崩壊要因を調査し、その質的側面を基に、量的データを得るように、闘病生活における問題状況を明らかにし、更に実際的援助と必要な援助を分析した。また、外国との比較をし普遍的な人の持つサポートニーズに焦点をあて検討した。 結果として(1)闘病生活の苦しい内容は患児の問題が一番多く、次に心身の強度の疲労、そして留守家庭にいる患児の兄弟の問題、医療関係者への不満・不信、夫婦間の感情的ずれ、学校問題、経済間題がリストされた。(2)闘病生活における間題状況を複雑にしているのは、サポーターの質と量の大きさが闘病生活に影響し、心身の疲労が生活感情に反映し、二次的な問題状況の発生につながっていた。即ち、状況危機と援助関係には問題の解決や対処時の要因間のあり方が重要であった。(3)その関係は「闘病生活における問題状況×生活感惰/夫・妻の情緒的サポート×ソーシャルサポート量」であった。(4)問題が多く状況は悪いが、サポートの多い人は困難を乗り越えやすく、また、問題に2〜3年、4年〜と期間を重ねてもサポートが多い場合は期間の影響は少ないといえた。 結論は、問題状況と、解決や対処時、要因間に法則性があり、問題状況査定の指標をもって、サポートプログラムができる。その際、直接介入できない問題には他の問題をサポートすることにより、本人の能力の再配分ができるような社会的サポートシステムの確立が必要である。
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