研究概要 |
Guillain-Barre症候群(GBS)や慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)などの治療はステロイド、血漿交換、大量免疫グロブリン投与などが行われているが、副作用、コストの問題があり、またすべての無効の患者や軸索障害を強く回復の悪い患者が少なくない。より画期的な治療法の開発が期待される。そこで新たな治療法をさぐる中で、実験的アレルギー性神経炎(EAN)におけるCOX-2 インヒビターの効果を見いだし、マクロファージのeffector levelに作用するものであることを明らかにした。とくに神経症状発症後の投与でも症状の軽減がある点に意義があると考える。またラットの慢性脳虚血モデルにおける白質病変の軽減にも効果を示した。 血管炎にともなうニューロパチーと症候学的に類似するものとして、神経周膜炎がある。3例の組織標本を用いてその発症機序を調べた。その結果、1例で形態的にバリアーとしての神経周膜の破綻を認め、さらに神経周膜細胞のアポトーシスを見出した。浸潤細胞にはCD8陽性でperforin,granzyme Bを有するcytotoxic T cellが多数みられ、細胞性免疫機序が作動して周膜が破綻し、神経障害が引き起こされると考えた。 また、遺伝性ニューロパチー(CMT1A)の神経組織における細胞周期蛋白の検索より、シュワン細胞でのp16の発現亢進をみいだし、さらにアポトーシスとの関連につき研究中である。
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