本研究は、文献(書籍、論文、その他の図書資料)、および文書記録類(公文書、ドキュメント、データ等)を資料として、それらを読み・分析することを通じて史実を再構成する、いわゆる文献実証の方法を採用している。 昨年度に引き続き、平成12年5月2日より13日まで、ロシア連邦モスクワ市を訪問し、ロシア科学アカデミー自然科学史・技術史研究所の密接な協力のもとに、昨年同様「ロシア科学アカデミー文書館」に通ったほか、新たに日本人としては初めて「ロシア国立科学技術記録・文書館」に入館し、1940年代後半の装備人民委員部(装備省、のちの国防工業省)関連の秘密文書類を閲覧し、それぞれ適宜複写してきた。また、現地の研究者との交流を通じて我が国では入手しにくい書籍を手に入れることができた。 これらの膨大な資科については、昨年度入手したマイクロ・フィルム資料や書籍類ともども帰国後時間をかけて整理と読解をおこなった結果、一部に通説を塗り替えるような貴重な発見もあった。これについては、最近、学術論文のかたちにまとめ、学会誌の編集委員会に投稿することができた(市川浩「第二次世界大戦終結直後の旧ソ連邦における軍需工業の技術的再編-装備省によるロケット開発を素材に-」、経営史学会『経営史学』に投稿中)。
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