本年度の研究実施計画に基づき以下の諸点を中心に研究を予定通り遂行した。 1.国内で刊行されている生物学史関係の専門雑誌「生物学史研究」(1955年創刊)および、「科学史研究」(1941年創刊)、「Historia Scientiarum」(1961年創刊)の創刊号から1990年代半ばまでに掲載された生物学史関係論文のリストアップを行った。そして、これらの題名、著者、ジャンルなどをパーソナル・コンピュータに入力し、データベース化を行った。さらに整備し、インターネット上で公開できる準備を進めている。 2.生物学史関係の図書、雑誌の収集に努め、研究遂行に必要な資料をほぼ揃えることができた。 3.生物学史以外の学術史領域の研究状況を知るため心理学史関係の研究者と緊密な連絡・情報交換を行った。日本心理学会第63回大会ラウンドテーブル「日本心理学史の展開:明治期・大正期における海外心理学の受容と導入」において指定討論者として議論を行った。 4.明治期以降の日本の動物学史の展開を考える上で重要と考えられる動物学者、箕作佳吉および実験動物学の成立に大きな貢献をしたと捉えられている谷津直秀の滞米在学記録を米国研究機関から入手した1次資料および日本側の資料からまとめ論文として発表した。さらに、これまでの日本の生物学史研究で手薄であった大正期の性科学、異常心理学(当時の呼称は変態心理学)に対する生物学的知識の貢献を文献的に調査し、論考としてまとめた。
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