本研究では、従来の剛体-リンク系モデルとは全く異なる多数のメッシュ要素から構成された有限要素人体モデルを作成し、動作解析においてフォームや関節トルクだけでなく、衝撃伝播、応力解析、数値流体解析等の解析が同一モデルで統一して行なえる計算科学的動作解析コンピュータシミュレーションシステムを開発した。 また、実際に本システムを幾つかの身体・スポーツ運動解析に適用し、モーションや力がボールの変形や応力伝播に及ぼす影響や周囲の流体の圧力分布等を解析する事により、計算科学的動作解析システムの適用可能性について検討した。 その結果、本研究の計算科学的動作解析システムは、機構解析、構造解析、数値流体解析等の異なった解析が同一モデルで統一して行うことができ、従来にない解析が実現された。また、本研究の動作解析システムは、かなり大きな計算資源を必要とし、大規模な計算には、いまだ大きな制限があることが示された。さらに、本研究の動作解析システムは、他の計算科学的手法のソルバーを付加することが可能であることが示唆された。 本研究で開発された有限要素人体モデルは、主に人体外形状をモデル化したものであるが、研究対象によっては、人体骨格モデルが有効である場合が少なくない。この有限要素人体骨格モデルの開発は、今後の最重要課題の一つであると考えられた。 本研究で開発されたデジタルヒューマンモデルは、フリーソフトウェアーとしてダウンロード可能にし、広く公開している(http://www.e.yamagata-u.ac.jp/^-asai/index.html)。
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