研究概要 |
体型と身長成長曲線のパラメータの関係を調べた。被験者はつくば市内の一公立中学校生徒(女子195名,男子213名)である。体型は,Heath-Caterの人体測定法に基づいて内胚葉型,中胚葉型,外胚葉型の3つのソマトタイプのスコアを算出して判定した。体脂肪計を用いて体脂肪率を計測した。身長成長曲線は被験者の小学校6年間のデータをBTT法で分析し,身長最小/最大速度年齢,成人身長のパラメータを求めた。身長成熟度を予測成人身長に対する身長現量値の割合と定義した。小城成長研究の資料から上のパラメータの予測値と観測値の相関関係を検討した。最大速度年齢はr=0.577〜0.672,成人身長はr=0.824〜0.866の再現性であった。3つのソマトタイプスコアで,他の2つのスコアよりも0.5以上大きいものをその個人を代表する優位ソマトタイプとした。 ソマトタイプの平均値は女子では4.4-3.4-3.0,男子では2.9-4.7-3.2であった。優位ソマトタイプは女子では内胚葉型(54.7%)が一般的で,外胚葉型(35.7%),中胚葉型(9.5%)と続く;男子では中胚葉型(66.1%)が一般的で,外胚葉型(24.1%),内胚葉型(9.9%)の割合であった。身長成熟度,予測成人身長はこれらの体型と関係がなかった。しかし,内胚葉型の女子の最小速度年齢(7.63歳)は外胚葉型の生徒(8.68歳)よりも早い年齢で開始し,そして,ピークに達する年齢も同様である(内胚葉型:10.62歳,外胚葉型:11.50歳)。これらの年齢パラメータと体脂肪率の間にも負の相関関係(体脂肪率vs.最小速度年齢:-0.408,体脂肪率vs.最大速度年齢:-0.450)があった。すなわち,内胚葉型の女子は身体の成熟に早熟傾向があった。男子にはこのような体型、身体組成による身長成熟の違いがなかった。
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